【新連載 】The Professionals 職人に訊け #001 鉄の街の守護者、河村信人さん

(Photos & words by Koki Nojima: Ledlenser Japan)

The Professionals 職人に訊け #001

鉄の街の守護者、河村信人さん —— アイアン職人/えびのテック社長

栄えある第一回のインタビューは、製鉄の聖地とも言える和歌山市で鉄工所を率いる河村信人さん。日本を代表する巨大製鉄所のある街で生まれ育ち、今は6人の職人たちとともに、ものづくりの現場での仕事に挑み続けています。

一般人立ち入り禁止の世界で活躍するプロの道具

レッドレンザー) レッドレンザー製品との出会いはなんだったんですか?

河村さん) もう10年以上前です。溶接用のガスを購入している問屋さんからの紹介がきっかけです。「とにかく丈夫で明るいヘッドランプがある」と聞いて、「これええやん」と即決しました。以来全従業員がレッドレンザーをヘルメットに装着し、毎日現場に出ています。

レッドレンザー) 現場での使用状況を教えてください。

河村さん) 我々の現場では365日、長袖・長ズボン、安全靴、ヘルメット、ゴーグル、そしてヘッドランプが必須装備です。製鉄所の内部は天井や足元に無数の配管やケーブルが走り、昼間でも光の届かない場所がたくさんあります。

常に工具や機材を手にしている作業員にとって、手持ちライトでは仕事になりません。現場に出たら、ヘッドランプを点けっぱなしにすることがほとんどです。

命を守るルールと、極限環境での誇り

レッドレンザー) 一般人が立ち入れない製鉄所内は、厳格なルールがあるようですね。

河村さん) 製鉄所は常に危険と隣り合わせ。事故のリスクを最小限に抑えるための知恵と経験がルールとして定められています。現場に立つことは、それを守るのが大前提。身勝手な行動は絶対に許されません。夏場は現場の気温や湿度を定期的に記録し、こまめな休憩と水分補給も義務付けられています。

限られた時間のなかで効率よく、質の高い仕事が求められます。真夏でも真冬でも、クレーンが使えない現場なら、どんな高所でも機材の上げ下ろしも含めて多くの作業が人力になることも。もちろん安全第一ですが、エアコンはおろか、雨風をしのぐ場所すらないこともあります。そんな環境で、時には昼夜を問わずプラント施設のメンテナンスや、予防的な整備をするのが私たちの仕事です。

レッドレンザー) かなりタフな仕事ですね。

河村さん) 確かに過酷な時もあります。でもそれ以上に、依頼を受けてゼロからモノを作ったり、自分たちが設計して作り上げたものが多くの人々の役に立つ。それを責任もって整備・維持する仕事は、やりがいも大きいです。

プロの現場を支えるレッドレンザー

レッドレンザー) そんな現場でレッドレンザーはどのように役立っていますか?

河村さん) 私たちの現場ではレッドレンザーのヘッドランプはメジャーな存在です。とにかく丈夫で壊れにくい。現場でヘッドランプが故障したら仕事にならないだけでなく、安全すら担保できません。どんな現場、どんな環境であっても「しっかり見る、見える」ことが安全の基本であり、確実な仕事の第一歩ですからね。だからこそ信頼できるヘッドランプがあって当たり前。何をするにも欠かせない相棒です。

たとえば溶接は見えないところほど大事。暗闇や陰になって見えにくい箇所ほど、技術に差が出ます。見えないところほどしっかり照らし、状況を把握してから手を動かす。職人として納得のいく仕事を遂行する。どの程度の仕事(技術力)だったかは、時間がたてば必ずわかりますから。

また溶接の現場では火の粉や鉄粉も日常的に浴びるので、ヘッドランプやゴーグルはどうしても消耗していきます。壊れたら新しいものに交換する商売道具だからこそ、丈夫で信頼できることが絶対条件。あと見た目が無骨でカッコいいという事も見逃せない要素です。毎日目にして身につける物だから。

レッドレンザー) ありがとうございます。現在はどの機種を使用されていますか?

河村さん) ここ数年は「H7R Core」を元請け会社と共同購入しています。壊れたら交換できるよう、事務所には常に新品をストックしています。

 

プロからのフィードバック:現場が求める進化

レッドレンザー) お気に入りのモデルはありますか?

河村さん) 会社として、これまで累計100点以上のレッドレンザーを購入・使用してきたと思いますが、個人的には先代の「H8R(現在は終売)」が最高でした。現行モデルのH7R Coreは明るいですが重量が259gあって先代のH8Rより100gも重い。長時間にわたって上を向いて作業していると、首がガチガチに凝ってしまうことも。そう考えると、100gの差は体感として大きいです。

またON/OFFスイッチの位置もH7R Coreは本体の右側ですが、H8Rはスイッチが本体のトップにあり、作業中で右手が使えない時も、左手で瞬時に切り替え操作ができて便利だったんです。

さらに充電ケーブルについても、マグネットの吸着式は私たちの現場には不向きです。磁石部分に鉄粉がついて吸着が甘くなり充電ができていなかったり、それを指で払った際に尖った鉄粉が指に刺さったり。仕事終わりに10台近いヘッドランプを充電していると、いつの間にかマグネットが外れていることも時々あります。その点ではH8Rは差し込み式で、保護カバーもあったので鉄粉が侵入しずらく確実に充電できました。この春に「H8R SE」が復活したと聞いて、切り替えを検討しているところです。

レッドレンザー) 貴重なご意見をありがとうございます。これぞまさに現場の声。そこまで重さと使い勝手にシビアだったとは。ドイツ本社の開発担当にしっかり伝えます。

河村さん) 製鉄所で働く人たちはきっと同じ思いをしているはずです。見やすくて、使いやすくて、頑丈なヘッドランプは仕事に欠かせない相棒。さらなる進化を期待しています!

 

(画像提供:河村さん)

河村さんは「Rugged Design(ラギッドデザイン)」というブランド名で、アイアン職人としての技術と経験を生かし、無骨で唯一無二のギアやファニチャーを手掛けている。すでに知る人ぞ知るガレージブランドとなっており、生産が追い付かないほど人気を誇る。

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